理事長所信
2025年度 公益社団法人 春日井青年会議所第57代理事長、髙栁 太志より所信表明です。
JAYCEEとしての
自覚と情熱を
<はじめに>
「新日本の再建は我々青年の仕事である」1949年9月3日、戦後間もない時代において同じ志を持つ青年たちが立ち上り、最初の青年会議所が設立されました。そこから時代を経て、今では多くの青年会議所とそこに集う同志が各地で運動を展開しています。
時代が変わり、個人の尊重や多様性が求められる社会となった今では、多様な組織やコミュニティができ、「昔はJCしかない時代、今はJCもある時代」と言われることがあります。しかし、JCは自己研鑽に励み、自分ではなく社会のために汗を流して行動をし、一生涯の絆を深められる団体として、私は今でもJCでなければならない時代だと考えます。JC は品格ある青年経済人でしたら誰でも入会が可能です。毎年のようにメンバーが変わるからこそ、その場でしか得ることができない経験には新鮮さがあり、新しい学びや気付きがあることが他の組織にはない魅力だと私は感じます。
そして、私たちは社会課題を解決するために運動を展開していますが、必ずしもそこに答えがあるわけではありません。目の前にはいくつもの困難が待ち受けていますが、諦めずに挑戦し続ける強い信念を持つことで、その熱意が原動力となり、自分だけでなく他の人々も動かすことができます。そのことに気概を持ち、人一倍熱いJAYCEEになりましょう。そして、春日井JCメンバーが一つになることで、10年⾧期ビジョンで掲げた「春日井力」を達成し、春日井っていいよねって誰もが思えるまちにしていきましょう。
社会で活躍できる人財の育成
1995年のインターネットの普及を皮切りに、現在では様々な科学技術が進展しています。中でもAIの台頭により、労働者不足の解消や業務効率化による生産性の向上が図られている一方で、AI によって淘汰される職業や自動化による思考力の低下が危惧されています。そのために、今ある科学技術と共存し活用していくと共に、それには代替できない新しいことを創造する力が必要です。このような社会が変化していく中でも活躍できる人財を育成してきましょう。
社会を動かす人財となるためには、将来こうしたいやこうなりたいといった目的を掲げることが必要です。しかし、目的を考えるだけで闇雲に行動していては達成することは困難でしょう。ゴールに向かう道筋を立てることで実現可能なものとなります。そして、それを行動に移して初めてスタートができます。しかし、周りを気にすることや自分への甘さなどの心理的要因から、なかなか前に進むことができません。大事なのは、強い意志を持った芯を持つことです。社会に変化を起こせる人財となるために、自らが考えて、判断し、行動できる「自律」の精神を育んでいきましょう。
また、多様化される社会課題を解決していくためには、従来の型に当てはめるのではなく、今ある技術を駆使すると共に、物事を多角的に捉えることで新たな解決策を見出す力がこれからの社会では必要とされます。その力を育むために、STEAMという創造性や芸術性といった分野に触れ、従来の教育と併せて学ぶことで物事を横断的に捉えなければなりません。知るだけでなく、体感することで柔軟な考えを持つことができる人財を増やしていきましょう。
ひと・まちのつながりを構築
春日井JCの運動をより多くのひとやまちに届け、地域社会に波及していくためには、JCだけでなく、より多くの方々と協力し合うことで、運動の効果を高めていく必要があります。協力し合うためには、自分たちの思いを伝えると共に、相手の思いに共感しなければなりません。まずは自分たちの目的を明確にし、相手に伝えていきましょう。そして、相手の考えを受け入れ、新たな発想力を身に付けることで、地域社会を巻き込んだ力強い運動を起こせる組織へと成⾧し、新たな歴史を築いていきましょう。
青年会議所は40歳での定年という制限がある中で、新陳代謝を繰り返し、運動の継続をしてきました。また、青年会議所は運動を通じて、会員にリーダーシップの開発と成⾧の機会を提供することで、それぞれの成⾧を促し、社会の発展のために寄与してきました。春日井JCでは20代の会員の増加、女性会員の増加により多種多様な人財が溢れています。そのような今までにはない会員との出会いは新たな人脈の形成や自身を見直す契機となり、春日井JCの運動をより力強いものとします。そして、多くの人財を入会に導くためには、JCメンバー全員を巻き込んだ拡大活動が必要です。そのためには、現在の情報をスピーディーに伝えるだけでなく、委員⾧の思いに共感する人財を少しずつ増やし、波及していくことが必要です。率先して行動することで春日井JCの魅力を伝え、多くの人に成⾧の機会を提供していくことで春日井JCの新たな歴史を築いていきましょう。
また、私たちは社会の課題を解決するために様々な運動を展開していますが、自分たちの考えのみで閉鎖的になっていないでしょうか。春日井市が5年ごとに行う市民意識調査では「春日井市に魅力や誇りを感じるか」の問いに対して「あまり感じない」といった回答が前回よりも増加傾向にありました。誰もが誇れる春日井のまちとなるためには、定着する新しい歴史を築くことが必要です。新たな歴史を築くためには、今までよりもより市民目線に立った運動を起こさなければなりません。そのためには、春日井JCだけでなく様々な思いを持って活動している団体と連携を図ることで、それぞれのステークホルダーを巻き込み、より大きな運動を起こしていくことが必要です。それぞれに目的があり活動の内容が異なるため、そのような諸団体と連携を図ることは新たな気付きが生まれ、組織やJCメンバーの成⾧を促すことにもつながります。諸団体と有効な連携をするために、それぞれの目的を理解し、私たちから積極的に働きかけていきましょう。そして、まちに展開することで、新たな歴史をつくっていきましょう。
活気ある春日井のまちづくり
春日井市はベッドタウンとして利便性のあるまちですが、まちの課題として人口減少や地域のつながりの希薄化など様々な問題を抱えています。そうした課題を一つでも解決していくためには、そこに住まうまちの人々がまちに対して関心を持ち、愛着を持つ必要があります。行動を起こすために、まちに魅力と安心を備え、一人ひとりが住み続けたいと思えるまちを創造していきましょう。
毎年のように世界各地で開催されるスポーツの大会は、自国チームの活躍や勝利に多くの感動や勇気をもらい、スポーツの力を実感した人も多いのではないでしょうか。スポーツには、プレーヤー、サポーター、観客など様々な側面から携わる人がいます。他者と共有できることが存在することで自然と人との結びつきを強め、共感と連帯を生み出すことができ、さらにはスポーツ自体の魅力向上にもつながります。それを春日井JC が推し進めることでまちの魅力を創出し、市民のまちへの愛着を高めていきましょう。
また、昨年の元日に発災した能登半島地震を始め、日本各地で様々な災害が毎年のように起こっています。この愛知でもいずれは大きな災害がやってくると言われ続けています。行政などの支援は災害が起こったときに発動しますが、活動に限りがあるため、人々が互いに助け合うことが必要です。平穏な暮らしの中では、なかなか当事者意識を持つことは難しいですが、それでも今のうちから、いざという時に何が必要で、自身には何ができるのか備えると共に、周りとの関係性を築くことが必要です。春日井のまちがこれからも安全・安心に暮らすことができるように、一人ひとりの意識を高め、助け合いの輪を広げることで災害から身を守ることができる強い春日井のまちにしていきましょう。
求められる組織の構築
持続可能な組織であり続けるために、JCメンバーや社会からも必要とされ続けなければなりません。そのためには、社会の変化に抗うのではなく、時代の波に乗り続けていく必要があります。今の社会には何が適しているのか。また、何が求められているのかを考え、変えていくことで組織内外からの信頼を得ることができ、JCメンバーそれぞれが胸を張って行動を起こすことができます。JCメンバーが自信に溢れた運動を発信し、社会に良い変化を起こしていくために、これからも必要とされる組織へと成⾧していかなければなりません。
組織としてまとまりのある運営を行うために、一定のルール、慣習が存在しますが、時代が移り変わっていく中で、今までの決まり事が組織の活動を制限してしまうことがあります。そのため、時代や人が変わっていく中では、そういったルールや慣習について常に見直していく必要があります。しかし、ただ不必要だからといって変えてしまっては組織としての秩序を乱す場合があります。変える事象についての本質を理解し、変えるべきものは進んで改善または提案を行っていきましょう。そして、時代に即した組織運営を行うことで、この先も続いていくことができる環境を整えていきましょう。
また、まちにより良い変化を起こす団体として認知度や存在価値を高めていくには、魅力ある発信をし続けることが必要です。そのためには、様々なツールを駆使し、それぞれの特性を活かした発信を強化することでJCメンバーや対外の方々から共感と信頼を得ることが必要です。曖昧なまま、ただ情報を流すのではなく、春日井JCの運動にどのような目的があるのか相手から共感を得られる発信を意識すると共に、JCメンバーが良いと思える広報を行うことが組織内外の価値を向上することにつながります。そして、目指すべき相手に適切に届く価値ある情報発信を行うために、情報の鮮度とタイミングを意識したマネジメントを行い、効果検証を図りながら推進していきましょう。
組織内外でサポート体制を築く
青年会議所の活動は所在する地域の活動のみに留まらず、さらに広い地域で活躍する場が準備されています。出向先での各地のJCメンバーとの出会いや事業には春日井JCとは別の刺激があり、そこで得られる経験はJC活動への更なる意欲の向上や個人の成⾧につながります。そして、出向によって成⾧したメンバーが所属する組織に新たな知見を展開できる機会を作ることで、組織をより強くすることができます。出向という成⾧の機会にメンバーが積極的にチャレンジできるようその魅力を伝えると共に、出向先の情報や出向者の活躍をJCメンバーと共有することで出向者の支援をしていきましょう。また、各地で開催される大会は、新しい考えや知識を手に入れることはもちろん、自分の住み暮らす地域の課題解決への糸口を見つけだすことにもつながります。多くのJCメンバーに参加していただくために、いち早く情報を入手し、発信をしていきましょう。しかし、単に発信していては、魅力を伝えることはできません。そこで行われるフォーラムやセミナー、ブースのメッセージを探り取り、JCメンバーにとって有益になるような魅力の伝達が必要です。出向の魅力を伝達することで、一人でも多くのJCメンバーに成⾧の機会を提供していきましょう。
おわりに
重要なことは、勝つことではなく参加すること」があります。その趣旨とは、「人生にとって大切なことは成功することではなく努力すること」というものです。何か成果を上げたいとき、当然のことながら良い結果を目指して取り組むはずです。もちろん、そうした結果は大切ですが、その結果を得るために自分が何を考え、どのような行動をとったかがより重要ではないでしょうか。これはJCでも同様です。時間を費やして議案を構築し、事業の準備を行い、運動を行った結果、掲げた目的が達成できなかったこともあったかもしれません。しかし、その過程で得た、まだ見ぬ人の笑顔を想像しながらの準備、協力し合うことで得られた仲間の絆は自分の人生のかけがえのない財産となります。そして、それは必ずやあなたを成⾧させ、仕事や家庭への還元へつながります。
私には20代の前半に起きた忘れられない後悔があります。それはやるかやらないかを求められた時に、悩んだ結果やらないと選択したことです。この時の心情は「やれる(行ける)けど、面倒だな」でした。客観的にみれば些細なことですし、それを行ったからといって私の人生に変化があったかどうかは定かではありません。しかし、時より思い出す程、私の心に深く根付いています。後悔先に立たずという諺があるように、悔やんでも取り返しがつかない事柄は皆様にもあるのではないでしょうか。何か選択が迫られた時、一歩踏み出す勇気を持ってチャレンジしてみて下さい。きっとそこにはあなたにとっての学びがあります。失敗しても大丈夫です。それがあなたの経験となり、自身の魅力につながります。
2025年度、私は春日井青年会議所の理事⾧として皆様の前に立つことが多くあります。その時の一つひとつの言葉、また、行動が皆様の模範となるように、そして、市民からありがとうと言っていただけるようにJAYCEEとしての自覚と情熱を持って歩み続けていきます。一年間どうぞよろしくお願い致します。
公益社団法人 春日井青年会議所2025年度 概要
基 本 理 念
2023年度に策定した春日井JC第5次長期ビジョンである「「春日井力」描く×創る×伝達する」を掲げ、魅力ある人・まち・組織の状態を示す春日井力を備えることを念頭に、なりたい自分を描き、それを表現するひとづくり、春日井の新たな魅力を創出するひとづくり、ひとやまちから信頼され、まちに笑顔が溢れ、親しみが持てる組織づくりを実践します。そして、春日井青年会議所はこのまちの豊かな発展のための意識変革運動に積極果敢に挑戦し続けます。
基 本 方 針
- 社会の変化にも対応できる柔軟な発想と自らの意思を持って行動を起こすひとづくり
- 青年会議所が成長の場であると実感でき、共に研鑽することのできる会員拡大の推進
- 助け合いのできる地域力の強化と気持ちを一つに魅力を創造するまちづくり
- 時代の変化にも追従できる厳格と柔軟性のある組織体制の構築と伝えたい想いを届ける伝達力の向上を図る組織づくり
- 変わったのではなく、変えたのだと誇れる会員の資質向上
(公社)春日井青年会議所2024年度スローガン
燃やそう情熱 高めよう志 みんなで築く春日井の未来
行 動 指 針
第5次長期ビジョン
【「春日井力」描く×創る×伝達する】
第8次中期ビジョン
【春日井JCがひと・まちをつなぐ架け橋となる】